家族の肖像 ー壁のアレンジメント実例その2ー

さて、実際にどんな写真をどれほどのスペースに幾つ飾るのか、まずそれを決めなくてはなりません。

A. それほど広くないコーナーに数枚飾るのであれば、やや大きめのフレームを中心に縦に長く掛けます。周りに大小サイズの異なるフレームを組み合わせるとめりはりが効いて印象的に。このとき、表情のある椅子や照明を合わせてコーディネートすることでストーリーのあるコーナーを創る事ができます。

ea5be27d86a34035ea240d9d6967f93f

 

B.  デスクやコンソールの上に横に広く並べる場合には、高低を少し変えることでリズムが出て楽しい印象になります。写真だけでなく、デッサンやイラスト、押し絵やアニメなど、好きなジャンルのコレクションを並べるなど、テーマ、素材、カテゴリに統一感のあるものにお薦めです。

8a13e8ebc11e62f0392ae920ad45efed

 

C. とにかくたくさんフレームがある(そして特にどれをメインにする必要がない)場合には、高さや幅は関係なくびっしり壁を埋めるように掛けます。フレームの種類を選んでも、逆に特に選ばなくても、数で圧倒的な存在感を演出できますが、中に入れるものには、家族の写真、あるいは、趣味、会社の歴史といった同じカテゴリの素材を選ぶと面白味が増します。

0ce1460ca08661dd5853941366a296c0

 

今回のケースでは、もともとコンソールが置かれたあった壁一面を利用することになりました。お写真の数は100枚ぐらいの中から選んで20枚ほど。フレームはお写真の内容に合わせて一つ一つ違います。それがこちらです。



中央には、オーバルの上品なフレームに古き良き時代のご家族集合写真、その上下に、ご夫妻の肖像、トップには一家の祖となる初代の肖像と、縦に主要人物を並べています。そしてその周りには、ご夫妻の若かりし頃のお写真、4人のお子様がた、ご兄弟、ご両親と、その伴侶となる方々が、それぞれの写真の雰囲気に合ったフレームの中に収まり、まるで太陽の周りの小惑星のごとくに広がります。

中央を飾ったお写真がこちら。



ご夫妻とご長女とご長男。ご主人の義母様、そしてご家族ではない若い女性が収まっています。次女様は写真の表面にこそ出ていませんが、実はこのときお母様のお腹の中ですくすくと育っていらしたとか。末っ子の三女様が生まれるまだ少し前の時代です。このお写真に惹かれ、メインにした理由は幾つかあります。一つには、家族が血縁だけに留まらない生活共同体として小さな社会を構成していた昭和のノスタルジーを感じること。そして二つめには、ご主人ではなく、奥様、お義母様が写真の中央にいらっしゃること。家族の記念写真といえば、往々にして仏頂面の一家の長が中央に収まることが常であった時代に、奥様が真ん中で、またその腕の中にご長女が抱かれているこのお写真に、このご家族の、平和でお幸せだったありのままの日常が偲ばれます。「元始、女性は太陽であった」といったのは「明治」の女性運動家でしたが、「昭和」とは、女性が家の中での太陽になれる時代であったのです。今や女性は家の外でも太陽になれる時代ではありますが、それは男性とも肩を並べ歯をくいしばる戦いの日々でもあります。その一方、「家を照らす太陽」とはこんなに穏やかな笑顔を纏えるものであると素直に納得できるとても良いお写真です。

「Every Family has a story」ーどんな家族にもその物語があるー。
昭和のはじめ、家族とは、親子以上の関係を意味していました。三世代が当たり前に同居し、また兄弟が5ー6人、多いときには8-9人いることもそう珍しいことではありませんでした。それに加えて、手広く商いを営む家には、使用人ー俗に姉やとか書生さんーと呼ばれる血縁ではない関係の同居人もいて、大きな食卓を囲んだ時代です。大勢いるからこそ年中行事も華やぎ、また立場の異なる人が隣り合わせになることで軋轢も生まれます。両親を同じくする兄弟姉妹でもも、それぞれの立ち位置で、家族を見る目は当然異なります。

実は、この「家族の肖像」プロジェクトには、当の発案者でさえ気がつかない隠れたストーリーもあったことが、後になってから判明。それはまた次回に。

→ 次回は「加えられた家族の肖像」について

ライフスタイル関連のオンラインショップはこちら

ライフスタイル関連のオンラインショップはこちら